MMORPGが抱える課題とオンラインゲーム
2002/1/16update

 Massively Multiplayer Online Role-Playingの略でMMORPGで、日本語では多人数型電脳上役割演技遊戯ってなとこでしょうか。無理しないで訳すと多人数型ロールプレイングゲームってとこですかね。UltimaOnlineやEverQuestを筆頭に「そんなんやりはじめたら他のことなんもできなくなるぞ」と言われる程なこれらのゲーム。自分もPhantasyStarOnlineにハマった時期は「家に帰ったらドリキャスでPSO」というのが生活の一部になるくらい熱中してたので、その面白さは理解しているつもりです。

 そうはいっても、PSOをやっている頃から「なんかこういうゲームってひっかかるとこがある」と思っていました。そこで気が付いたのは「MMORPGというシステムには大きな課題がある」ということなのです。
 RPGっていうのからわかるように、これらのゲームは王道のCRPG(コンピュータロールプレイングゲーム)を踏襲しています。UltimaやWizardryを礎とし、ブラックオニキスが日本での道を切り開きドラゴンクエストによって花開いたジャンルです。これらのゲームが持つ、今現在(2002年)でも基本となっているシステムは「敵を倒して経験値(アイテムやゴールド)獲得>レベルアップ>強くなる>よりいろいろな事ができるようになる」という図式です。もちろん、この単純な経験値獲得システムにチャレンジした意欲的システムを持つ作品もありますが(俺の屍をこえてゆけ、FF8、等)、やはり自分の分身となるキャラクターを強くするためには「長い時間をかけて育てる」という以外に無いのです。
 つまり、現在の一般的CRPGにおいては「強くなる=長い時間をかける」という式が成り立つと考えられます。
 これはどういうことか?一般的に、MMORPGにおいてはLvの上限というのはかなり高い位置に設定されています。ファイナルファンタジーで全てのパラメータをMAXにできるような時間をかけても、まだまだ先は見えないというくらい長い時間が必要な設定です。ここらへんは初代Wizardryの感覚に近いというか「LvのMAXなんて考えられない」というのが丁度いい感覚でしょう。
 また、最後の大ボスであるシドーを倒すとかいう最終目標も設定されていない事が普通です。もし設定されていたとしても、初代WizardryのワードナやPSOのダークフォルスみたいに単なるシナリオ上の通過儀礼になっていたりするわけです。そう、MMORPGにおいては「シナリオ=単なる世界観の設定に過ぎない」というのもまた成り立つのです。

 これら2つの式によってもたらされる課題とは何か?順序は前後しますが、まず「シナリオ=単なる世界観の設定に過ぎない」という点から考えてみましょう。これから導かれる課題というのは次の一点に集約されます。「ゲームの楽しさというのは自分のキャラクターの充実(強くなるとかアイテムをいっぱい持っているとか)、もしくは他人とのコミュニケーションである」ということです。「他人とのコミュニケーション」については、課題どころか一番の良い点だと思うので、後述。
 となると「自分のキャラクターの充実」が楽しいということのどこが課題か?ということになります。そもそもゲームやって負けっ放しで楽しいなんて人はそうそういないので、やるからには強くなりたいはずです。RPGというものの強さというのが「自分のキャラクターの充実」になってしまうところに課題があるわけなのです。

 そこで「強くなる=長い時間をかける」という事について考えてみます。
 一般的に、ゲームに強くなる為には時間がかかるものです。スポーツのように肉体的な鍛錬も必要なのであれば肉体的な成長の時間も必要だったりしますが、ひとまずそれはおいといて技術的なもののみ(厳密に言えばそれにも肉体的要素はあるのですが)を考えてみることとします。
 MMORPGにおいてキャラクターを強化させるためには、ひたすら敵を狩って経験値をかせぐというのが一般的です。そして、また時間のかかる事でもあります。もちろん、装備として大幅にキャラクターを強化してくれるレアアイテムや効率的な狩りの方法などにより、少しばかりの時間差は個人の技術によってあるでしょう。しかし、チートなどのインチキ行為を行わない限り、実時間で1年間の時間差を埋めるような技術差というものは、ほぼ存在しないと言って過言ではありません。つまり、1年前からプレイしている人に追いつくためには、その人と1日あたりのプレイ時間が同じである間は、追いつくことは不可能であるということになります。そもそもが達成型のゲームであるCRPGを基としているMMORPGとの比較には適していないかもしれないのですが、対戦型のゲームを考えてみましょう。例えば囲碁。もちろん強くなるには時間がかかりますし、その強さの上限というのは果てしないというのは誰もが認めるところです。何を言いたいのかはもうわかるかもしれませんが、1年くらいのプレイ時間の差なんてあっさりひっくり返るくらいに強さというものには技術が必要です。
 何が言いたいのかっていえば、MMORPGにおいては例えそのプレイヤーがどんなにヘタレであっても「プレイ時間の差による強さの差」っていうのは埋まらないんですね。要するに、プレイに際しての技術というか腕というものがほとんど必要ないというわけなのです。

 これがMMORPGの抱える大きな課題だと思うわけです。これは自分が元来、対戦型のゲームが一番面白いと思っているせいなのかもしれませんが、MMORPGの課題であることは間違いないのではないかと思います。

 さて、これらを解決するようなMMORPGはどんなものなのだろうか?そんなのを考えついたら大ヒットMMORPG制作者になることができると思うので、自分では考えつきません(^^;;;;


 理想のオンラインゲームとは何かという前に、ここでちょっと見方を変えてMMORPGの良いところを考えたいと思います。それは何より「他人とのコミュニケーション」にあると思われます。見知らぬ人と協力して冒険ってのが楽しいのはやってみりゃわかります。というわけで、見知らぬ人との出会いの場としてのMMORPGは非常に優れているわけなのです。
 では、見知らぬ人とのコミュニケーション的な楽しさが無いのに面白いオンラインゲームは何かっていえば、東風荘の麻雀でありヤフーゲームの囲碁や将棋でありAoCのようなRTSでありといった対戦ゲームなんです。これに付随させるべき要素は何かっていえば、厳格としたRatingシステムだと思うんですよね。これが機能すれば、全世界の人が同時にアクセスするオンラインの場でもその人の腕の基準が明確になるわけです。
 例えば、明確にランク分けされたバーチャファイター4の対戦台がいつでもプレイでき、乱入はされないCOM相手の練習台もCOMの強さを調整して何種類も置いてあるようなゲーセンを考えてみてください。オンラインであれば、MMORPGのように全世界の人がアクセス可能である、そういう場ってのは作ることができますよね。VF4の移植とかいう問題は別としてですが。実際のゲーセンでも「なんたらゲーセンがホームグラウンドなチーム」とかがあったりするわけですから、そういうのがオンラインにできたって不思議どころか面白そうです。
 MMORPGのような場で見知らぬ人と出会い、対戦する。そこかしこで大会が開かれたり、その結果としてアイテムが手に入ったりする。腕を磨くために、COM相手に練習したりもできる。今の対戦型オンラインゲームに欠けているのはそういう場の提供だと思うのです。MicrosoftZONEとかもありますが、いまいち不足ですよね。そんなんだから、IRCチャンネルとかが流行るわけです。まとまりがありませんが、KOF Onlineとかいうのならそういうのを作ってくれよなんて思う今日この頃。


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